WDAI創刊号 スペシャルインタビュー

2018年4月1日発刊 WDAI創刊号より



創刊特集として,日本初の女性ITI フェローとなられた田中道子先生(WDAI副会長)をご紹介いたします.鎌倉でご開業され,インプラント治療の女性パイオニアとして,常に歯科界の先端を進んでいらっしゃる田中道子先生.一方プライベートでは,愛らしいお孫さんのお話になると口角を緩める魅力的な面もお持ちです(インタビュー前日はお孫さんとバレンタインチョコを一緒に手作りされたとか!).女性として,歯科医師として歩まれてきたア﹅ ツ﹅ い﹅ 眼差しと志しに, 田中先生をインプラント治療のメンターとして師事してきたWDAI副会長渥美美穂子先生がズバリ迫ります!インタビュア: 渥美美穂子先生(WDAI副会長横須賀市開業)



Q1) 先生が目指したものをお伺いします.女性歯科臨床家として第一歩を目指されたのは,どういったことでしたでしょう?


私は一人っ子でしたので…一番最初に歯医者になろうと思ったのは,父が歯医者でしたから,後を継ぐことで母が喜ぶ,喜ばせたかった…というのが最初の目的でしたね.


今,目指されているのはどのようなことでしょう?

それは「私のやった治療が患者の口の中でいかに長く機能するか」ですね.鎌倉はお年寄りの方が多く住んでいらっしゃる町です.総義歯には悩まされました.調整,調整の日々,そして再製.パーシャルデンチャーではクラスプをかけた歯からダメになっ

て,行き着く先は総義歯.悩みましたね.


憧れた…影響された方は,どなたですか?

それはもう中村社綱先生です.二十数年前,ある講演会でインプラントの話を聞いたのです.講演中,「もしかしたら私の悩みを解決してくれるのはこの方法かもしれない」と体中に電気が走りましたね.その時の演者が中村先生だったのです.それからずっと不出来な弟子ですがお世話になっています.その他,特にと言われれば,オーラルリハビリテイションの保母須弥也先生からメタルボンドを,総義歯は新羅システムの阿部晴彦先生から顎堤

を読むことを,「子の嫌いな5つの咬み合わせ」と言い放って不定愁訴を訴えている患者の咬合の有り体を提示した筒井照子先生.「あの患者少しおかしい.あんなことばかり言っていて」と思っていた私の方がなにもしらなかったのだということ

を気づかせてくださいました.


我々の世代が聞くと,名だたる先生,大家と言われる先生を師事されていらっしゃったんですね.

ちょうどそういう時代であり,幸せであったと思います.





Q2) 今でこそ女性の働き方がとり立てて言われていますが,先生の時代は男性歯科医師がメインの時代であった…そういった中で,男性陣に混じりながら学び続け,さらにトップを走り続けてきた原動力とは何でしょうか?


何しろやりたい!歯科治療がやりたい!という想いです.主人や子供たちにも負担をかけたと思いますが,何事もなく(子供達は) 育ってくれました.主人も何も言わずやりたい事をやらせてくれたと思います.その当時は主人の事を「なんて理解のない人!」などと思っていましたが(笑),今となってみれば嫌な顔もせず…「妻たるもの」とか「母たるもの」とかいうことを一度も言われたことがなかった.感謝しています.


Q3)先生はご主人との間にお子様が3人いらっしゃり,全員歯科医師となられていますね.仕事と子育てに悩む女性も多いかと思いますが,子育てという点はいかがですか?

(家庭面では)省略をしてきたように思いますが,一つだけ言えることは「手料理を食べさせる」ということ.これだけはやりましたね.勉強しなきゃダメよとか進学のこととか,とやかく言ったことは一度もないです…叱ったことはありますけどもね(笑).

子供達自身で歯科医師の道を選択してきたので,ヘェ~!と思ったくらいです.

全ての人が羨ましいと思いますよね!

(頬を緩め) 私はとにかく…食べて健康に育って欲しいと,そう思い育ててきました.





Q4) 専門性について 先生のご略歴を拝見しておりますと,口腔外科を学び,一貫して 開業医として歩んでこられたと思います.臨床の中で,特にイン プラントは専門性の高い治療として,学会やITIなどの認定制度が あります.先生も日本初の女性ITIフェローとなられました!目指 そうとする若い人たちも多くいると思います.女性が専門性を得 て,認定制度を取得することや,それを生かしていくことの意義 など,先生のお考えを教えてください.


私は専門医制度に魅力を感じていませんでした.「100時間コー スに出る時間も余裕もなかった.」というのが真実でしょうか. 主人,子供たち,従業員,患者,と私を必要としている人がいる, 稼がなければ…という状況.さらに何よりも私自身が患者に接し ていたい!と思う自分がいるのです.私の主人はサラリーマンで すが若い頃は共働きをした方が経済的には楽だったことは事実で す.それよりも私自身,歯科治療が好きだったので家庭に閉じ こもるなんて考えられませんでしたね.しかし子供たち三人が歯 医者になると進路を決めてからは歯医者になっていて良かった, 開業していてよかったと心底思いました.そういう経済的に稼が なければならないというMUSTの状況の中で労働の疲労と惨めさ を感じることなくやって来れたのはインプラントに巡り会えたか らだと思っています.インプラントの確実性,信頼性が患者を救 い,私の精神状態を浄化し続けてくれたのだと思います.患者の 一言「先生,具合いいいよ.インプラントやれといった先生を信 じてよかった!」この一言で私はHAPPYになれるのです. 考えてみれば今までで役に立ったと思う資格は,歯科医師免許と 運転免許だけだったのです(笑).それなのにこの歳になって,ITI Fellowを頂戴することになり,どうしたものかと思案していまし た.そんな折WDAI立ち上げのお話があり,私のような普通の開 業医の存在が少しでも役に立つならばと思い参加させていただき ました.





Q5) 学び続けるコツは何でしょうか?

一言でいえば,クラスフィケイション(分類)です.特に自分 自身のクラスフィケイション(分類)です.自己分析といった ほうがよいのでしょうか.自分は習熟曲線のどこに位置してい るか. どれだけの知識があるか,人間としてはどうか.己を知 れば目差すところは見えてくる筈です.もう一つ,大事なことが あります. 良い師匠と仲間をもつことです.